そもそも家賃交渉は可能?

テナントを構えるすべての企業では、家賃を削減できるか否かが経営の大きな課題となる。個人経営の店舗にせよ、チェーン展開している飲食店にせよ、賃料に頭を悩ませているオーナーは非常に多いのではないだろうか。

しかし、「家賃交渉」と簡単にいっても、そもそも家賃を交渉することなどできるのだろうか。

飲食店向けではなく、一般的な賃貸物件であれば、多少であれば家賃交渉の融通がきく場合も多い。実際に家賃引き下げの交渉に成功した話を聞くこともあるだろう。

しかしながら、飲食店向けの賃貸で家賃交渉を行ったことのある方の声は耳にする機会が少なく、身近な実績がないため、わかりにくい部分も多い。交渉で店舗の賃料引き下げに成功できるかどうかは、飲食店の運営において非常に重要なこと。ここからは、飲食店の運営における家賃交渉の可否や交渉方法などについて見ていこう。

店舗物件を借りるのが大前提

まず注意すべきなのは、賃料や契約条件に関して交渉をする場合は条件がまとまれば契約するというのが大前提です。貸主も貸すことが決まっているからこそ交渉に応じてくれているので、申込だけ行っておいて何件も何件も値段交渉するのは失礼になるのでやめましょう。貸主、不動産会社の両方から信用を損ない、他社であっても今後違う物件を契約するのが難しくなってしまいます。また契約前に不動産会社にも希望条件を伝えておき、詳細を理解してもらっておくと間に入って交渉を行ってくれたりと交渉がスムーズに進みやすくなります。

店舗賃料交渉point1:事業計画書に基づいて交渉

直球に「家賃を安くして下さい!」でも安くしてくれる貸主さんもいます。しかし、それはほんの一部にすぎません。貸主さんは店を長く借りてくれる人なのか、あなたの開業する店は安定するのかなどの心配がなくならないと家賃を安くするのは難しいのです。
そこで大切なのが事業計画書になります。しっかりとした事業計画を伝え「家賃が●●万円だとここのお店で安定した事業ができるのですが」と貸主さんと交渉すると交渉価格にもよりますが、スムーズに交渉ができるようになります。

店舗賃料交渉point2:設備の交渉

「設備の交渉」とは店舗のオープン時に必要な物件の改修費や修繕費の一部を貸主にもってもらえないか交渉することです。賃料の交渉には応じてくれない貸主でも、設備関係であればOKという貸主も少なくありません。一般的に内装や内部の設備は借りる側である店舗オーナーが負担するのが一般的ですが、その後の物件の価値があがるような改装であれば負担してくれるような貸主は意外と多いので、ダメ元でも一度提案してみましょう。

たとえば防犯・防災に関するものや、電気・ガスなどの容量増加、内装工事などその後も物件を借りた人がずっと使えるもの、かつ業態に左右されない汎用性の高いものであればあるほど負担してくれる可能性が高まります。また費用を負担してもらうのが難しければ、「それらの設備の原状回復は免除する(スケルトン状態に戻さなくていい)」という条件だけでもつけてもらえば退去時の費用を削減することができます。

店舗賃料交渉point3:解約時の費用交渉

賃料や初期費用だけでなく、解約時にかかる費用は多くの人が見逃しがちだ。解約時の費用まで計算して、総支払額で見るよう心掛けると良いだろう。すでに店舗を構えている飲食店で、月々の賃料の値下げを不動産業者に断られてしまった場合なども、解約時の費用を下げられないかを交渉する余地があります。
新店舗を立ち上げる場合も、解約時の費用を計算に入れたうえで、物件の相見積もりを出しておくと、後々損をする事態は避けられる。そして解約時の費用だけでなく、解約予告時期、保証金、違約金なども確認しておこう。